• broken image

    4世代家族の長男として誕生

    三重県上野市(現:伊賀市)にて、私は誕生しました。実家は曽祖父母、祖父母、両親が同居する4世代家族であり、私はそこに両親が待望した長男として生を受けました。

     

    曽祖父が農家・建具屋、祖父が大工、父が建築士という兼業農家の家系であったこと、4世代家族であったことは、今の私の形成に大きく影響しています。

     

    我が家の田んぼを見守る神社が佇む姿が、私の原風景です。数百年かけて成長してきたであろう鎮守の森が集落の人々を見守る、このような景色の中で育ちました。

    broken image

    ファシリテーションとの出会い

    三重県の兼業農家の集落に生まれたことは、その集落特有の文化・風習の存在を物心着く前から私に意識させました。文化・風習のシステムはそれに適応することで人を生きやすくさせ、規律・ルールから外れると人を疎外します。また、文化・風習は地域・環境・家族・組織ごとに異なることも10代を通じて見えてきました。

     

    サッカーを通じて友人たちや先生方との付き合い方・礼節を学び、読書という他の友人たちと異なる興味関心が強かった私は、学生時代からこの人間関係の不思議を探求していました。ファシリテーションとの出会いは、キャリア教育ベンチャー就職後、友人に誘われて対話のワークショップに参加した時のことです。多様な人々が集う集団を、グループ単位でより良い状態へ導くためのアプローチとの出会いでした。

    broken image

    『ティール組織』と『ソース原理』の探求

    キャリア教育ベンチャーを経て、ファシリテーションは私のライフワークであり、生業となりました。ファシリテーションの探求を突き詰めていくと、人の日々のコミュニケーションはワークショップという非日常の時間以上に、日常生活の中にある集団の構造と、構造によって醸成される文化・習慣によって大きく影響され、形作られることが見えてきました。

     

    フレデリック・ラルー氏の提唱した『ティール組織(Reinventing Organizations)』とピーター・カーニック氏の提唱した『ソース原理(Source Principle)』は、ファシリテーションだけでは届かない領域にアプローチし、人の創造性を発揮するための重要な知見に感じられ、探求を始めました。その探求の中で『ホラクラシー(Holacracy)』という組織運営法に出会い、オランダでのトレーニング参加へと繋がりました。

    broken image

    家族の歴史・事業の承継と自然の摂理

    家族の変化により、私はそれまでの仕事を手放して地元へ戻り、父から農家を継ぐこととなりました。自ら主体となって対面することとなった田んぼ、動植物たち、それらを取り巻く自然は、人間の思惑や計画と異なる原理原則で動く存在でした。そして、農業とは自然と人との共存や、関係性のあり方を模索する産業であることを痛感しました。

     

    人生には、病気や災害といった思わぬ転機が訪れます。自然は人間都合の決まりやルールとは異なる摂理によって営まれています。このような、人間を取り巻く大きな流れ・異なる文脈に直面し、自身の思惑を手放し、ありのままの現状を受け入れることは、私の組織づくり・場づくりの考え方・あり方を大きく変えました。また、そのような不確実性の中でも実現したい「何か」を思い描き、生きることが「人」ならではのあり方なのだと感じるようになりました。

    broken image

    自然の智慧と共にあるファシリテーターへ

    これまでの経験・歩みを通じて、私は人間ひとりのできることの限界と、協力・コラボレーションするからこそ成し遂げられる偉業があるという、人間の可能性を実感することができました。

     

    また、人間の意図や思惑を超え、種を蒔き、次世代へ繋ぎ、佇み続ける自然のあり方・叡智についても間近で目撃し、体感することができました。

     

    2022年より、これまでの実践と人生のトランジションから得た知見を編み直し、自然の智慧を人や組織に取り入れるファシリテーターとして、人と組織の創造性・可能性を発見し、共に歩む取り組みを本格的に再開しました。

     

    『世代を超えて豊かに育っていく関係性、組織・社会の仕組みづくり』とは、このような背景も手伝って生まれた願いです。

    broken image

    そして、これから……

     

    私が生まれた時、私の家族は4世代で同居していました。私は記憶として曽祖父母の顔を思い出すことができ、自分より3世代上の人々の存在を体感として感じることができます。実家を継いで家族の物語を辿ることで、それはより明確になりました。

     

    この稀な経験から、私は自分より下の3世代についても思いを馳せることが増えました。私が曽祖父のような年代になった時、社会はどのように変化しているでしょうか?そこに生きる子どもや孫、ひ孫世代はどのように過ごしているでしょうか?願わくば、どのように生きてほしいでしょうか?

     

    このような問いを日々大切にしつつ、『世代を超えて豊かに育っていく関係性、組織・社会の仕組みづくり』に取り組んでいきたいと考えています。